世界探検家菅野力夫

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 絵葉書の蒐集家なら一回は出逢ったことがあるだろうという言葉が決まり事のように
冠せられる古絵葉書国(のみ?)の有名人、「世界探検家 菅野力夫」。


 世界探検家菅野力夫の絵葉書(以下、菅野絵葉書)といえば、世界各国の風景をバックに
サファリ・ルック(ではないこともあるが)に身を包み見るからに怪しいヒゲ男がポーズを
決めた絵葉書がかなりの分量を占めているようである。

 そして、世界各地の様子のみならず、ときには原籍が福島県であること、自宅が「東京市
杉並区高円寺二丁目百十八番地」にあることまでこと細かに伝える、絵葉書としては過剰な
文章量も菅野絵葉書の大きな特徴である。

 先週初めて菅野絵葉書を購入し、晴れて菅野力夫歴1週間となった私もこの場を借りて、
怪しい菅野絵葉書を1枚ご紹介したい。


 見るからに怪しいヒゲ男と記したように、菅野力夫といえばやはりヒゲである。メキシコに
いようが、タイにいようが、ロシアにいようがむさくるしくヒゲをたくわえている。しかし、
そのような受け手の菅野力夫=ヒゲというイメージをおちょくるかのような絵葉書が残っていた。

 この絵葉書にはヒゲのない菅野力夫が中国風の服を着て写り、顔の傍にはこのような文章が
添えられている。

 「南船北馬支那放浪中の明治四十五年七月三十日(明治大帝崩御)よりヒゲを剃らず
  昭和七年四月三日(神武天皇祭)自宅に於てヒゲを剃る」


 誰が知りたかったんだ、そんなこと。ヒゲを剃ったというだけのことが菅野絵葉書の手にかかると、
こうして過剰な情報となって受け手に届けられる。菅野力夫、おそるべし。