2011-01-01から1年間の記事一覧

ミイラとなった奇々妙々の珍動物

1937(昭和12)年12月発行の雑誌『歴史写真』174号に載ったミイラである。「般若と人間と蛇から成った珍動物」という触れ込み。一言も妖怪とは書かれていないが、妖怪ミイラの一種といってよいだろう。こんな妖怪の伝承があるのどうか判らないが、ひとまず「…

2011夏:噴水の旅―番外篇(観覧車・小便小僧)

この夏の旅で発見した噴水について書き留めている途中だが、こちらは番外篇。特命捜査中の観覧車情報と小便小僧情報である。 8月17日に福岡県立図書館を訪れた。東亜勧業博覧会の資料を探すのに大変お世話になった図書館だ。その『東亜勧業博覧会誌』の現物…

2011夏:噴水の旅―地方博覧会の噴水(2)

愛媛県立図書館では合計30点の博覧会資料を見せて頂いた。 ●『豊橋市商工会主催全国特産品博覧会誌』 1930(昭和5)年、愛知県の豊橋市で開かれた博覧会。会期は3月20日から5月13日まで。会誌の本文中には、噴水について書かれた文章を発見できなかった。あ…

2011夏:噴水の旅―地方博覧会の噴水

旅の楽しみの一つに地元の図書館訪問がある。「旅に出て、なにも図書館に籠ることはないだろう」という向きもあるだろうが、準備さえしっかりしていけば、旅先の図書館はお宝の山なのだ。書庫には国会図書館に所蔵されていない本もゴロゴロしている。これを…

2011夏:噴水の旅―道後温泉の噴水

8月13日、松山にある「坂の上の雲ミュージアム」を訪れた。ここは司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」をテーマとした博物館で、平成19年にオープンした若いミュージアムである。原作の人気に加え、ドラマ化も後押しし、すでに70万人以上の来館者を迎えたという。…

「噴水の日」をめぐるすっきりしない話

どこの誰が言い出したのか、8月21日は「噴水の日」だという。この「噴水の日」をめぐるすっきりしない話を書いてみたい。試しにネットで「噴水の日」の由来を調べてみると、表現は多少異なるが、およそ次のような文章が出回っている。 「1877(明治10)年の…

2011夏:噴水の旅―香川大学・神原文庫の噴水史料

長崎への帰省の旅路を利用して四国の高松と松山を訪れた。 高松でのお目当ては香川大学付属図書館の「神原文庫」。「神原文庫」は、香川大学の初代学長、神原甚造氏収集の旧蔵図書・資料約12,000点、16,560冊(和漢書15,890、洋書670冊)その他から成る文庫…

【番外編】ホノルル・カピオラニ公園の噴水・4

御即位大礼奉祝会は「鶴亀の噴水器」を建設すると決めたものの、いざ建設に向けてデザインや予算を詳しく調べ始めると、日本から横槍が飛んできた。 奉祝会がモデルとして念頭に置いていたのは東京・日比谷公園の鶴の噴水である。奉祝会の依頼を受け日本で調…

人魚のミイラ

干物と水物を行ったり来たり。 絵葉書ではないが、先日古書市で拾った新聞記事の切り抜き帖の中に人魚のミイラがあった。この記事を載せた新聞社主催のイベントに出品されたものらしい。出品者は和歌山県猿川村の東浦庄太郎氏。 切り抜き帖には「百珍の出品…

【番外編】ホノルル・カピオラニ公園の噴水・3

大正4(1915)年7月26日、御即位大礼奉祝会は発足した。発足当日からすぐさま様々な事項の審議に入り、噴水器建設も論じられている。 永久的記念物として「鶴亀の噴水器」を建設してこれをホノルル市に寄進する、会の委員長となった領事の有田八郎(…

1915(大正4)年の御大典関連の噴水

【番外編】ホノルル・カピオラニ公園の噴水・2

大正天皇の即位式を11月に控えた1915(大正4)年夏、海の向こうのハワイでは、即位を祝し、在留邦人によるモニュメントとして噴水塔の建設計画が持ち上がった。噴水塔の製作は、総領事館から外務省を通じ、東京美術学校(現在の東京芸術大学)が請け負った(…

二代目大阪駅からお馴染みの「噴水小僧」を展示します

6月14日から8月31日まで、かつて大阪駅に彩りを添えた「噴水小僧」が大阪弁天町の交通科学博物館に登場する。http://www.mtm.or.jp/event/index.html#kozo 下の写真は6年前、同館で行われた「鉄道とアート」に登場したときの「噴水小僧」。長らく大阪…

浮田仙太郎年表(随時更新)

浮田仙太郎/ウキタ電気営業所(と思われる)情報を時系列に整理してみた。 ・大正2年頃 大阪(新世界)で阪神広告社を経営 ・大正3年 東京の東京大正博覧会で「美人島旅行館」を考案? ・大正11年 東京の平和記念東京博覧会で電飾に従事 ・大正15年 …

浮田仙太郎/ウキタ電気営業所(書きかけ)

株式会社ムーンスター社の「つきほし歴史館」で見た噴水塔と東亜勧業博覧会の噴水塔(「水晶球塔」) http://blogs.yahoo.co.jp/eigajin/53703423.html について、地元福岡の福岡県立図書館にレファレンスをお願いしていたところ、思わぬ収穫があった。博覧…

京都岡崎の噴水(続)

前回の「京都岡崎の噴水」で紹介が漏れてしまったのがこちら。一九二〇年(大正九年)の「平和記念航空博覧会」の噴水塔。 「平和記念航空博覧会場鳥瞰図」絵葉書 同上(部分:拡大) 「平和紀念航空博覧会場 中庭の噴水の夜景」 噴水の下部を拡大して見ると…

つちやたびの噴水塔(書きかけ)

こちらは昨年末に訪れた「つきほし歴史館」で撮らせて頂いた「大濠公園広告塔」の写真(の写真)。「つきほし歴史館」は福岡県久留米市にある株式会社ムーンスターの本社敷地内に併設された企業博物館で、足袋から始まった同社の歴史を「モノ」語る、製品や…

京都岡崎の噴水

一八七七年(明治十年)、東京の上野で第一回内国勧業博覧会が開かれた。東京では以来、博覧会といえば上野での開催が定番となり、何度も博覧会の会場に選ばれた。十八年後の一八九五年(明治二十八年)、第四回内国勧業博覧会が行われた京都では、会場とな…

東本願寺の大噴水(2)

京都の「本願寺」といえば東と西、二つの本願寺がある。「京都の都人」にベルサイユ宮殿の大噴水を「詰まらなし」と言わしめた「我が本願寺の大噴水」は東の本願寺にあった。寺の北側、現在の花屋町通の辺りである。今は跡形も無いが、かつては大きな池があ…

東本願寺の大噴水(1)

一九一〇年(明治四十三年)六月五日、パリ。第一日曜は「月に一度、年に十二度のベルサイユ宮の大噴水噴出の日」とあって、ベルサイユ宮殿の大庭園には地元のパリっ子、フランス人はもとより、ロシア人、イタリア人、スペイン人と各国の見物客が詰めかけた…

三菱一号館美術館「ヴィジェ・ルブラン展」

東京丸の内の三菱一号館美術館で開催中(3/1~5/8:現在3/24まで臨時休館)の「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン」展。革命迫るフランスでマリー=アントワネットの肖像画家として活躍した女性画家、ヴィジェ・ルブランの回顧展。 http://mimt…

ポンプと噴水

博覧会などで噴水は人々の耳目を集める格好の広告媒体として、社名や商品名の売り込みに大いに利用された。福助足袋と広告合戦を繰り広げた足袋メーカー、つちやたびの巨大噴水「水晶塔」や、中山太陽堂の「カテイ石鹸大噴水塔」(http://blogs.yahoo.co.jp/…

学界の一大驚異 鬼ノミイラ絵葉書(1932年)

ネット上で「妖怪ミイラ」の画像を探すとき、(こんなタイトルを掲げておきながら)実はこのサイトがけっこう充実している。そんなお誉めの言葉を下さった方のご期待に応えて、鬼のミイラ(骨)の絵葉書をご紹介。「よくわからないニッポンの絵葉書」の中で…

京都停車場前の噴水(1917年?)

1920年(大正9年)の『日出新聞』のマイクロフィルムのリールを回していたときに(探しものは見つからず)クルクルと流れていく紙面の片隅に見つけた噴水の記事。見よ、文化系の動体視力。「目端が利く」というより、これは「目が端に利く」。 辰山園と命名 …

楊柳観音噴水(1903年)

1903年(明治36年)大阪で開かれた第五回内国勧業博覧会に登場した「楊柳観音」の噴水。当地ではその色っぽさが話題になった。 こんな事件も新聞で報じられている。人波をかきわけて噴水池に入ろうとするひとりの青年。見つけた守衛の制止も聞かず、青…

大典記念京都博覧会の噴水(1915年)

一九一五年(大正四年)、大正天皇の即位式のひと月前の十月十日から京都で始まった大典記念京都博覧会の噴水塔。祝意を表す瑞獣として、池の中央に建つ石柱の上には双翼を広げ今まさに飛び立とうとする「霊鷹」、石柱のたもとには三頭の「麒麟」を配する。 …

戦争・天皇・水道―祝う噴水(5)

一八八九年(明治二十二年)北海道・函館の市中を訪ねてみよう。九月二十日の疎水式に向け、街はさまざまな装飾で埋め尽くされていった。 「今度の疎水式に付種々の飾り物を作る中に水道の水を利用して噴水など装置るには区役所の許可を得る事なるが右出願は…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(4)

水道通水から三年後の一八九八年(明治三十一年)九月、大阪でまた新たな噴水の設置計画が持ち上がる。 九月十四日の大阪市会。議事案件は「行幸奏請ノ件」(『大阪市会史』第三巻)。十一月に府下で軍の特別大演習が行われる。統監する天皇陛下は大阪市内の…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(3)

一八九六年(明治二十九年)二月二十六日の市会では、扇谷五兵衛議員から「中ノ島公園噴水撤去二関スル建議案」が提案された。議員曰く「前年中ノ島公園二建設シタル噴水ハ意匠構造共二宜シキヲ得ス公園ノ風致ヲ害スルノ感アル」。噴水が公園の美観を損ねて…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(2)

もっともこの噴水、凱旋祝賀会のために建設されたというよりは、竣工がたまたま凱旋祝賀会に重なったといったほうが正しそうだ。 市が予算案を市会に図ったのは二月。その後「四月十五日の頃は其工を竣ふべしと伝説しながら今に至りて未だ著しく其工の進歩し…