広島軍用水道と鯉の噴水

広島市の水道誕生には陸軍が大きく関わっていた。 1894年(明治27)日清戦争が勃発。戦地に近い陸海交通の要地であり、前線基地となった広島には全国の部隊が集結し、大本営が置かれた。しかし、当地の飲料水は衛生状態が悪く、赤痢やコレラといった水系伝染…

消された噴水・描き足された噴水

ここに2枚の絵葉書がある。どちらも「横浜公園ノ桜」と題した絵葉書で、桜の季節の横浜公園を写したものらしい。園内にあった茶屋だろうか、店先には床几が置かれ、客とおぼしき人物が腰を下ろしている。見比べるとすぐに分かる通り、2枚は同じ写真である。…

日本一の噴水が京都にあった!

社寺の噴水でとりわけ異彩を放ったのは京都・東本願寺の噴水である。 「池の岸より竪に噴くもの五十本、池中よりするもの六本、人形や龍の口より横に噴くもの無数、それが一時にシユーとばかりに噴出し、サーとばかりに池に注ぐ、日光之に映じて幾筋の虹を現…

NHK『美の壺』「噴水」再々放送(2014年8月3日)

NHKのテレビ番組『美の壺』で放送された「噴水」の回が、Eテレ『美の壺』セレクションとして、2012年の本放送、2013年の再放送に続いて再々放送!猛暑の夏を目に涼し気な噴水で乗り切りましょう。 ◎NHK アート鑑賞マニュアル『美の壺』http://www.nhk.or.jp/…

浅草・ひょうたん池の噴水

今年の元日、NHKで「1914 幻の東京~よみがえるモダン都市」という番組が放送された。100年前の街の風景と人々の暮らしを高精細の復元映像と再現ドラマで見せていくという番組で大変面白く、期待していた通り戦前の噴水も登場したのだが、これは惜しかった。…

辰の口勧工場の噴水

松斎吟光の『辰之口勧工場庭中之図』(三枚続)という錦絵がある。1882年(明治15)6月に発行されたこの錦絵は「辰之口勧工場」の庭を画題としたもので、画面左の池に噴水が描かれている。明治時代の商業施設と噴水の関わりを知るため、まずはこの「辰之口勧…

春木座の噴水

明治維新は芝居の世界にも変化をもたらした。東京市中では1872年(明治5)の規制緩和政策により、翌年の1873年(明治6)新たな劇場の開場が相次いだ。春木座もこの年に当初奥田座として本郷春木町に開場した劇場で、1876年(明治9)地名を取り春木座と改名す…

陸軍参謀本部前の噴水

「今度新築の陸軍参謀本部の表門前へ噴水器を取設けられんとて着手中」(読売新聞、明治14年4月16日) 明治14年(1881)、新築中の陸軍参謀本部の前に噴水を設ける計画があった。また、東京曙新聞によれば、陸軍参謀本部の玄関の天井には当代一の漆喰細工の…

噴水と浜寺海水浴場

一九一二年(明治四十五)七月一日、大阪堺の浜寺海水浴場の開場を伝える『大阪毎日新聞』の広告は「大脱衣場=大休憩所=清水浴場=海上運動場=海上大噴水の諸計画は悉く面目を一新せり」と新しいアトラクションの登場を予告している。明治時代最後の年の…

NHK『美の壺』「噴水」再放送(2013年6月30日)

NHKのテレビ番組『美の壺』で放送された「噴水」の回が、Eテレ『美の壺』セレクションとして再放送されるようです。夏本番の前に目に涼し気な噴水を。前回の放映直後、落雷で故障するというアクシデントに見舞われた北海道・モエレ沼公園の大噴水「海の噴水…

道後温泉駅前の噴水(「四国一の大噴水」)

『愛媛新聞』1965(昭和40)年3月20日朝刊 「道後の玄関に七色のニジ」 「松山市と道後温泉事務所が春の観光シーズンにまにあわせるため工事を急いでいた道後温泉駅前の放生池噴水が十九日完成、道後の玄関に七色のニジをえがいて観光客を歓迎している。 噴…

【メモ】舞鶴城公園(甲府城)の鶴の噴水-2

写真は1922(大正11)年9月26日付の『山梨日日新聞』に掲載された舞鶴城公園の謝恩碑である。鶴の噴水はこの謝恩碑の目と鼻の先の池にあったものだが、この写真の時点ではまだ池もないように見える。それが正しければ、1922(大正11)年10…

【メモ】舞鶴城公園(甲府城)の鶴の噴水

すぐに設置時期が判るかと思いきや、なかなかたどり着かない舞鶴城公園の鶴の噴水。1935(昭和10)年の年賀状にイラストとして書かれており、少なくとも1935年以前に設置されたことは確かだ。1985(昭和60)年の再建時に作られた石碑(「舞…

岩国・吉香公園の噴水

山口県岩国市の吉香公園の噴水である。過去形ではなく、戦前の絵葉書に写る噴水と同じものとおぼしき噴水が現役で動いている。 1885(明治18)年の吉香神社移築をきっかけとして、その境内地の公園化が進められた吉香公園は、戦前の絵葉書では「吉香神社公園…

沼津公園(千本浜公園)の噴水

こちらの噴水もその歴史が少しずつ掴めてきた。絵葉書の噴水と新聞記事中の噴水が一致するものか、まだはっきりとしないが、1907年12月の『静岡民友新聞』で沼津公園で建設計画中の噴水が登場する記事を見つけた。 「曾て白澤林学博士より日本唯一の公…

熊本・辛島公園の噴水

熊本在住の友人の導きで、この絵葉書の噴水が熊本市内の辛島公園にあった噴水だったということが分かった。そこで、熊本日日新聞社がネット上で公開している「熊日写真ライブラリー」で検索してみると、友人と話していたこの写真の印象のとおり、昭和30年…

【判明】甲府駅前の噴水の竣工時期

1908(明治41)年6月11日付の『山梨日日新聞』が設置計画を報じた甲府駅前の噴水は、その後同年8月中旬に竣工したことが判明した。 「同駅二等待合室の前に噴水池を設け…数日前竣工したるに付早速噴水試験を行いたる所其成績頗る良好にして優に二…

旧千葉県庁前の噴水(メモ)

旧千葉県庁前にあった噴水がいつ建設されたのか追跡中。『絵による図でよむ千葉市図誌』上巻67頁に掲載された昭和2年の鳥瞰図にはすでに描かれており、それ以前の建設であると思われる(明治44年、旧千葉県庁が竣工したときの新聞記事や写真には噴水が…

【新春企画】高崎白衣大観音&スワンボートコレクション

1.高崎白衣大観音 どんな観光地にも一つは定番の「絵になる構図」があるが、高崎白衣大観音の場合はこれが一つの定番だったらしい。 2.スワンボートコレクション ここにあるスワンボートはいずれもオール式だが、いつペダル式のスワンボートは生まれたの…

甲府勧業共進会の噴水(2)

第一会場の舞鶴城公園(甲府城)に作られたのは「舞鶴の噴水」。現在「自由広場」と呼ばれている辺り、外堀にかかる遊亀橋を渡り、共進会の正門をくぐった目の前に噴水池は設けられた。岩上の鶴は「高さ九尺鉄筋コンクリート製の鶴雄雌二羽」(『甲府勧業共…

甲府勧業共進会の噴水(1)

1918(大正7)年10月5日、市制施行30年を記念した勧業共進会が甲府で開催された。市内四カ所の会場のうち、第一会場の舞鶴城公園(甲府城)と第四会場である太田町公園(遊亀公園)の二カ所に噴水が設けられた。 「市勧業共進会の記念として太田町…

甲府駅前の噴水

噴水が写っているのではないかと当たりをつけていた甲府駅の絵葉書について、ようやく一つ目の手がかりを見つけた。博覧会の噴水のように、設置された時期が簡単に特定できる場合は調査が楽なのだが、なかなかそうもいかない。偶然の発見に負うところも意外…

戦後まもない頃の日比谷公園・鶴の噴水

戦後間もない頃の日比谷公園の鶴の噴水を写した珍しい絵葉書を入手した。噴水の右奥に見える建物は日比谷公会堂で、この池は心字池である。1903年(明治36)の日比谷公園開園以来、雲形池で涼を提供してきた鶴の噴水は戦後のほんの一時期、日比谷公園…

京都・円山公園の噴水

古書市で大量の絵葉書をシャカシャカとめくりながら噴水の絵葉書を瞬時に抜き取るのに必要なのは鵜の目鷹の目、どんなに小さく写り込んでいても噴水を見逃さない眼力である。 京都・円山公園の噴水絵葉書「京都名所 円山公園」 同上(拡大) 京都・円山公園…

下関駅前・日和山公園の噴水

その素性を知るための手がかりがなかなか見つからなかった下関駅前の噴水にようやく一筋の光。1913年(大正2)9月の『福岡日日新聞』で偶然、「下関駅前の泉石」という記事を発見した。下関駅前の「泉石」について設計が完了したことを受け、その概要…

第22回文化資源学研究会のご案内(チョロッとしゃべります)

10月13日(土)第22回文化資源学研究会@お茶の水女子大学にて、「噴水と近代日本」というテーマで発表する機会を頂きました。文化資源学会の会員以外の方でも自由にご参加頂けるとのことです(参加費は無料です)。人前で噴水の話をするのはこれでようやっ…

米子市制記念噴水の今

大阪・中之島公園の大噴水

NHK『美の壺』「噴水」本編終了後のお楽しみ-2

撮影スタジオではこんな風に絵葉書を並べておりました。さすがに我が家にこんなことをしてみるスペースなどあるわけないので初めての経験です。壮観!絵葉書の並べ方やライトの当て方、カメラの台車を動かすスピード、カメラを寄りから一気に引きに持ってい…

NHK『美の壺』「噴水」本編終了後のお楽しみ

NHKのテレビ番組『美の壺』「噴水」の本編に漏れた資料をディレクターの堀内さんが「スタッフ制作日記」で紹介して下さっております。長崎のお化けハマグリ噴水、広島の旧産業奨励館(原爆ドーム)脇にあるヤン・レツル設計の噴水(現在も被曝した残骸が残っ…