甲府勧業共進会の噴水(1)

 1918(大正7)年10月5日、市制施行30年を記念した勧業共進会が甲府で開催された。市内四カ所の会場のうち、第一会場の舞鶴城公園(甲府城)と第四会場である太田町公園(遊亀公園)の二カ所に噴水が設けられた。

 「市勧業共進会の記念として太田町公園に永久的噴水を設置すべく…該噴水は池中に水面約十尺の巌石を据付け自然の瀧を擬して噴水せしむるに在りと又舞鶴城公園内にも共進会期間中舞鶴の噴水を設置する予定にて…」(『山梨日日新聞』1918年9月11日付、「噴水設置工事」)

 太田町公園の噴水は「富士山麓より運び来れる熔岩を十数尺の高さに積上げ其上には鉄製の亀を据噴水する仕掛」(『山梨日日新聞』1918年10月5日付)となっていたという。後日刊行された『甲府勧業共進会事務報告』(1919年)によれば、鉄製ではなくコンクリート製となっているが、いずれにせよ、亀を据え付けたのはおそらく舞鶴城公園に設けた「舞鶴の噴水」と対置する意図があったのだろう(公園の名前自体、この共進会に合わせて太田町公園を遊亀公園に改名したらしい)。「永久的噴水」として企画されたこの噴水は現在も遊亀公園の一画に保存されている。

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「遊亀公園内第四会場」図(『甲府勧業共進会事務報告』)


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現在の遊亀公園の案内図(2012年12月23日撮影)

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会場図と同じ方向から撮影した現在の噴水

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「遊亀公園」絵葉書


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