2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第二回関西九州府県連合水産共進会の噴水

明治40年(1907)、関西・九州の各県を中心に20の府県が参加し、「第二回関西九州府県連合水産共進会」が長崎市で開かれた。噴水は正門を抜けた先に広がる中庭の中央にあった。2万5千点に及ぶ水産物・水産加工品を集めた「水産」をテーマとする共進会らしく…

鬼のミイラ

半年前、クダンの絵葉書を見つけた某古書市で、またまた珍しい妖怪ミイラの絵葉書を百円で拾う。私の知るかぎり、過去に取り上げた本のない初見のもの。初日から三日間、よくぞ誰にも拾われず残っていてくれた。古本の神様に感謝感謝。 裏と表、何度ひっくり…

東京大学噴水物語(四)

噴水受難の時代 戦時期は噴水にとって受難の時代であった。 政府は戦争遂行に必要な金属資源の不足を補うべく、国民からの金属回収に踏み切った。時局の悪化とともに、金属類回収令の公布(昭和16年8月)、銅像等ノ非常回収実施要綱の閣議決定(昭和18年3月…

東京大学噴水物語(三)

昭和24年(1949)10月、東京大学消費生活協同組合出版部から一冊の本が刊行された。日本戦歿学生の手記、『きけわだつみのこえ』である。瞬く間に二十数万部を売るベストセラーとなり、今なお読み継がれるこの本の登場がなければ、図書館前の噴水はなくなっ…

東京大学噴水物語(二)

『総合図書館ガイド2007』を見ながら総合図書館の歴史を簡単に振り返ろう。 東京大学における図書館の設置は明治10年(1877)まで遡る。江戸時代から受け継がれた資料を中心に蔵書を増やし、震災直前には76万冊に及ぶ蔵書があったという。しかし、大正12年(…

東京大学噴水物語(一)

晴れた日には噴水の水音もいっそう心地よい。東京大学本郷キャンパス、総合図書館前の噴水である。重厚な総合図書館の建物を背景に、両脇の楠の大木とともに「ここしかないというほど動かし難い位置を占め」(*1)、構内最高の空間を生み出している。夏季休…