気になる噴水

消された噴水・描き足された噴水

ここに2枚の絵葉書がある。どちらも「横浜公園ノ桜」と題した絵葉書で、桜の季節の横浜公園を写したものらしい。園内にあった茶屋だろうか、店先には床几が置かれ、客とおぼしき人物が腰を下ろしている。見比べるとすぐに分かる通り、2枚は同じ写真である。…

NHK『美の壺』「噴水」再々放送(2014年8月3日)

NHKのテレビ番組『美の壺』で放送された「噴水」の回が、Eテレ『美の壺』セレクションとして、2012年の本放送、2013年の再放送に続いて再々放送!猛暑の夏を目に涼し気な噴水で乗り切りましょう。 ◎NHK アート鑑賞マニュアル『美の壺』http://www.nhk.or.jp/…

NHK『美の壺』「噴水」再放送(2013年6月30日)

NHKのテレビ番組『美の壺』で放送された「噴水」の回が、Eテレ『美の壺』セレクションとして再放送されるようです。夏本番の前に目に涼し気な噴水を。前回の放映直後、落雷で故障するというアクシデントに見舞われた北海道・モエレ沼公園の大噴水「海の噴水…

旧千葉県庁前の噴水(メモ)

旧千葉県庁前にあった噴水がいつ建設されたのか追跡中。『絵による図でよむ千葉市図誌』上巻67頁に掲載された昭和2年の鳥瞰図にはすでに描かれており、それ以前の建設であると思われる(明治44年、旧千葉県庁が竣工したときの新聞記事や写真には噴水が…

第22回文化資源学研究会のご案内(チョロッとしゃべります)

10月13日(土)第22回文化資源学研究会@お茶の水女子大学にて、「噴水と近代日本」というテーマで発表する機会を頂きました。文化資源学会の会員以外の方でも自由にご参加頂けるとのことです(参加費は無料です)。人前で噴水の話をするのはこれでようやっ…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(5)

一八八九年(明治二十二年)北海道・函館の市中を訪ねてみよう。九月二十日の疎水式に向け、街はさまざまな装飾で埋め尽くされていった。 「今度の疎水式に付種々の飾り物を作る中に水道の水を利用して噴水など装置るには区役所の許可を得る事なるが右出願は…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(4)

水道通水から三年後の一八九八年(明治三十一年)九月、大阪でまた新たな噴水の設置計画が持ち上がる。 九月十四日の大阪市会。議事案件は「行幸奏請ノ件」(『大阪市会史』第三巻)。十一月に府下で軍の特別大演習が行われる。統監する天皇陛下は大阪市内の…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(3)

一八九六年(明治二十九年)二月二十六日の市会では、扇谷五兵衛議員から「中ノ島公園噴水撤去二関スル建議案」が提案された。議員曰く「前年中ノ島公園二建設シタル噴水ハ意匠構造共二宜シキヲ得ス公園ノ風致ヲ害スルノ感アル」。噴水が公園の美観を損ねて…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(2)

もっともこの噴水、凱旋祝賀会のために建設されたというよりは、竣工がたまたま凱旋祝賀会に重なったといったほうが正しそうだ。 市が予算案を市会に図ったのは二月。その後「四月十五日の頃は其工を竣ふべしと伝説しながら今に至りて未だ著しく其工の進歩し…

戦争・天皇・水道―祝う噴水(1)

華やかで、非日常的な空間を簡単に作り出せる噴水は、祝祭の「おめでたい」気分を盛りたてる装置の一つとしてしばしば登場する。例えば、戦勝を祝う式典で。例えば、皇室の御慶事を祝う街角で。セレモニーが終われば取り払われる仮設の工作物として作られる…

関西の噴水事情

関西の噴水事情の鍵になる1895年(明治28年)から1903年(明治36年)あたりを大捜索中。綺羅星の如し。 1895年(明治28年)6月18日発行『風俗画報』表紙 「大谷派本願寺(大噴水)」絵葉書 「東本願寺非常用噴水」絵葉書 1895年(…

東京大学噴水物語(九・完)

「年に二三度の他は可能性をひそめて黙す『九輪』」(『東京大学学生新聞』昭和29年5月21日付)とは物は言いよう。昭和26年(1951)に復活を果たした噴水塔であったが、水を噴き上げるのはもっぱら学園祭など特別な時ばかりだった。美化せずに語…

東京大学噴水物語(八・続)

昭和26年(1951)10月4日付の『東京大学学生新聞』は「無視」という意味深なタイトルの記事で次のようなニュースを伝えた。 「アカデミズムの本舗・東京帝国(?)大学の、これ又中心にそそり立つロツクフエラー図書館の玄関前にささやかな噴水がで…

東京大学噴水物語(七・続)

西郷さんの大脱線から急いで本線へ戻る。 大学側の《わだつみ像》受入拒否に対し、像の寄贈・設置を企画した「わだつみ会」を中心に各界からすぐさま激しい非難の声が上がった。しかし、大学側を動かすには至らず、運動は自然と下火になり、第2ラウンドは翌…

東京大学噴水物語(六・続)

政治的な銅像という連想から、大きく脱線して「汚れた英雄」という話をはさみたい。噴水とは全く関係ない。 1980年代後半の東欧革命やソ連崩壊、近年ではイラク戦争で、一国の「英雄」の威信が一夜にして地に堕ち、銅像が引き倒されるという光景がたびた…

東京大学噴水物語(五・続)

3年ぶりの物語再開につき、時系列を振り返りつつ。 昭和3年(1928)現在の総合図書館前に登場した噴水塔は、昭和18年(1943)、戦時下の金属回収の動きに合わせて解体、図書館前から姿を消した。 時は流れて終戦後の昭和25年(1950)。前…

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。「晴れた日は噴水を見に」の精神でさっそく見て来ましたるは、亀戸駅前公園の「はね亀」噴水(1992/平成3年)。 親子孫三代、羽ばたく亀戸、というわけでありますな。台座と池は亀甲の六角形。池の周囲のブロックには頭…

情報求む

「駅の向ふにある遊円地です.澤山人がゐて遊んでゐます.まん中にあるのは噴水です」 噴水探偵、いきなりの難問である。噴水探偵を名乗るのもいきなりであるが、そこはよしとされたい。「まん中にあるのは噴水です」という葉書裏の書き込みが叙述トリックで…

裸祭りと噴水(西大寺裸祭り「会陽」)

岡山県の古刹、西大寺。二月の第三土曜日、天下の奇祭と称される裸祭り「会陽(えよう)」が行われる。今年の会陽は明後日、2月21日に本番を迎える。 祭りが最高潮を迎えるのは深夜。本堂内外の明かりが一斉に消され、境内にひしめく数千人の裸の男の渦へ「…

東京大学噴水物語(四)

噴水受難の時代 戦時期は噴水にとって受難の時代であった。 政府は戦争遂行に必要な金属資源の不足を補うべく、国民からの金属回収に踏み切った。時局の悪化とともに、金属類回収令の公布(昭和16年8月)、銅像等ノ非常回収実施要綱の閣議決定(昭和18年3月…

東京大学噴水物語(三)

昭和24年(1949)10月、東京大学消費生活協同組合出版部から一冊の本が刊行された。日本戦歿学生の手記、『きけわだつみのこえ』である。瞬く間に二十数万部を売るベストセラーとなり、今なお読み継がれるこの本の登場がなければ、図書館前の噴水はなくなっ…

東京大学噴水物語(二)

『総合図書館ガイド2007』を見ながら総合図書館の歴史を簡単に振り返ろう。 東京大学における図書館の設置は明治10年(1877)まで遡る。江戸時代から受け継がれた資料を中心に蔵書を増やし、震災直前には76万冊に及ぶ蔵書があったという。しかし、大正12年(…

東京大学噴水物語(一)

晴れた日には噴水の水音もいっそう心地よい。東京大学本郷キャンパス、総合図書館前の噴水である。重厚な総合図書館の建物を背景に、両脇の楠の大木とともに「ここしかないというほど動かし難い位置を占め」(*1)、構内最高の空間を生み出している。夏季休…

「大本営跡の噴水」

広島軍用水道布設部にては旧大本営跡へ噴水を設くるに付其構造を鯉の形にとり其口より噴水せしめんとの議ありしところ嚮に軍用水道布設部長児玉源太郎氏の同地に赴むきし折しも軍用上の工事として然る贅沢なる仕懸をなさんは面白からずと云いしため之を見合…

「高須缶詰工場開業式」

呉両城なる高須缶詰工場にては去る廿七日午前九時より開業式を挙行せしが当日工場に緑門二箇所を設けて嘉賓歓迎門となし数百の球燈を掲げ屋上に餅撒台を設け場内の装飾すべて意を用いたるが中に式場正面には牛頭を作り缶詰を以て山を築き尚汽関の作用にて噴…

道徳公園の噴水

「道徳公園 真宗宣伝倶楽部ヨリ西北ヲ望ム」。鯨の噴水。

大阪築港倶楽部の噴水

「大阪築港倶楽部噴水池」の噴水。女性? 細部の写りが悪く詳細は不明。

京都の噴水

「Kyoto Water-works Ground from the Garden of Miyako-Hotel」とあります。今年見た噴水絵葉書の中では1、2を争う素晴らしい1枚です。本当に見事な噴水です。

大きくなったのか、小さくなったのか、それが問題だ

数日前に亀の噴水をご紹介したつながりで(*)豊川閣妙厳寺(豊川稲荷、愛知県豊川市)の噴水絵葉書をご紹介いたします。 今回の噴水絵葉書は、以前touri7878さんがご紹介されていた豊川閣妙厳寺の噴水絵葉書(**)と全く同じ位置から撮影されたもののようで…

宮島・紅葉谷の噴水

touri7878さんのブログ『縦覧御随意!よろずや商会絵葉書ギャラリー』の「宮島・紅葉谷公園の噴水(広島県廿日市市)」という記事でご紹介のあった噴水を別の角度から撮影したものと思われます。 こちらの絵葉書には「宮島紅葉谷」と書かれているだけだったの…