「高須缶詰工場開業式」

 呉両城なる高須缶詰工場にては去る廿七日午前九時より開業式を挙行せしが当日工場に緑門二箇所を設けて嘉賓歓迎門となし数百の球燈を掲げ屋上に餅撒台を設け場内の装飾すべて意を用いたるが中に式場正面には牛頭を作り缶詰を以て山を築き尚汽関の作用にて噴水三叉を設け鯉の瀧登りを作れり午前十一時頃海軍将校其他官民有志者百三十名賓客として来り場員の挨拶、来賓の祝辞等ありて立食の饗応あり紅裾座興を幇け余興として海軍軍楽隊の奏楽、永福座にて興行中の三之助の昔噺、小供角力、餅撒、茶番狂言、舞妓の手踊等あり頗る盛況を極め午後四時頃散会したり

明治32年(1899)8月30日 芸備日日新聞