甲府駅前の噴水

 噴水が写っているのではないかと当たりをつけていた甲府駅の絵葉書について、ようやく一つ目の手がかりを見つけた。博覧会の噴水のように、設置された時期が簡単に特定できる場合は調査が楽なのだが、なかなかそうもいかない。偶然の発見に負うところも意外に大きい。閑話休題、発見した1908(明治41)年6月11日付の『山梨日日新聞』の「噴水池設置の計画」という記事をさっそく見てみよう。

 「甲府駅にては今回仝駅一二等待合室前庭に一大噴水池を設置せん目的にて既に右設定方を県庁土木課技師に依頼し近々着手する筈なるが噴水池は径三間の円形にて中央に意匠を凝らしたる噴水器を設け水道を引き込みて利用する由なれば竣工の上は一段の風景を添ゆべしと」

 短い記事だが、甲府駅に新しく噴水池を作る計画が語られている。池の直径は約5.5mで、池の中央に噴水器を設置。噴水は水道から給水する方式だという。さほど大きな噴水ではないことから、予定通り「近々着手」したのであれば、遅くとも年内には完成したのではないだろうか。年が明けたらさっそく7月分からしらみつぶしに関連記事を探し出さなければ!

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「【甲斐国】 中央線 甲府停車場」絵葉書
中央に写っているのがその噴水だろうか。

 *明治41年6月の山梨日日新聞を調べれば何か出てくるかも知れないというアイディアはブログ「峡陽文庫」http://kaz794889.exblog.jp/から頂いた。こちらのブログでは図版をふんだんに使い、山梨の歴史をさまざまな切り口から紹介している。今回は甲府駅と記念碑」http://kaz794889.exblog.jp/17451824/というエントリが大変参考になった。

 甲府駅前にひっそりと立つある石碑について、明治36年6月に甲府駅が開業した頃の駅前は、特段何もない広々とした風景だったことから、駅前に庭園を造り乗降客の憩いの場を建設することとなった。その完成を記念し明治41年6月に建立された石碑がこの記念碑である」と紹介している。噴水に関しては触れていないが、庭園とくれば噴水だろうという読みで見事、目当ての記事へたどり着いた。多謝!