岩国・吉香公園の噴水

 山口県岩国市の吉香公園の噴水である。過去形ではなく、戦前の絵葉書に写る噴水と同じものとおぼしき噴水が現役で動いている。

 1885(明治18)年の吉香神社移築をきっかけとして、その境内地の公園化が進められた吉香公園は、戦前の絵葉書では「吉香神社公園」とも呼ばれている。吉香神社、吉香公園吉香」は当地の旧藩主吉川家ゆかりの名前で、「きっか」「よしか」「きっこう」とさまざまな読み方をされていたようだが、現在は「きっこう」と読む。

 さて、この噴水はいつ出来たのか。今のところ、明確な答は分からない。一つの手がかりとなるのが1898(明治31)年製の吉香神社の境内の図(版画)だ。吉香公園の来歴などを伺った、岩国徴古館(http://www.city.iwakuni.lg.jp/html/bunkazai/chokokan/index.htmlの松岡さんが送って下さったこの図には、池こそ描かれているものの、噴水は描かれていないようだ。何種類も絵葉書が出るような、この目立つ噴水をわざと描き落としたとは考えにくい。とすれば、1898(明治31)年の時点ではまだ噴水は存在せず、設置はそれ以降という可能性が高い。水がこれだけ高く上がっている、つまり高い水圧を維持しているということを考えると、岩国で水道が整備された時期との関係を検討してみるとよいかも知れない。

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「周防岩国吉香神社公園の噴水」絵葉書

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「岩国吉香神社公園の噴水」絵葉書

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「周防岩国公園の桜」絵葉書