別府八幡地獄の鬼

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この書庫では「絵葉書に見る日本の『奇』」として、ビックリ仰天、おどろきの光景を写した絵葉書をお届けしたい。

第1回は、本編で別府の噴水をご紹介したのに合わせて「別府八幡地獄の鬼」。

別府・八幡地獄には『怪物館』という、人魚や河童、件、鵺といった<怪物>の剥製を集めた施設があり、
その奇怪な剥製を写した絵葉書が伝わっている。怪物の姿はおぞましく、おそろしい。
白黒の絵葉書で色が判らない分、かえって異様な存在感を漂わせている。


館外には「地獄」につきものの「鬼」がいた。
この「鬼」の骨、高さは一丈二尺、おそよ3.6mというからかなり大きい。
ウシシシシという笑い声が似合いそうな笑い顔にも見える頭蓋骨。両手両足、3本の太い指。
何種類もの絵葉書に登場するところを見ると、往時はたいそうな有名人だったのかも知れない。
「地獄には鬼がいる」。単純明快にして度肝を抜く見世物である。

別府の絵葉書には八幡地獄以外にも「間歇地獄ノ鬼」と題した、別の鬼の骨を写したものが残っている。
「地獄」という非日常的な、見世物的な風景の中にはこうした異形の怪物たちもしっくりとおさまっていたのだろう。別府地獄はまさに<怪物のユートピア>となっていたのである。



●1枚目
 「鬼はコノ向赤塗の家」という看板が気になる。この写真の鬼の骨は<本物>ではなく、案内用あるいは地獄の風景をバックに<鬼>と写る撮影スポットのためのものだったのかも知れない。 


●3枚目
 その「赤塗の家」と思われる建物の前に、立看板とともに据えられた「身長一丈二尺余鬼の骨」。立看板には次のような文章が書かれている(4枚目)。
 
 「之れは或人の手より転々として自らの手に入りしものなり兎に角昔ある鬼の顔によく似て居る所より鬼と名付けたり此の鬼と云うものは果して何者であるか諸君よろしく御鑑定を願う」
 「或る動物学者の説によれば十六世紀の動物にてアフリカのコンゴー附近に棲息し馬や牛の如く四足であって尾蹄骨ありしものなり兎に角珍しき動物なり諸君よろしく御高覧も程希う 八幡地獄」


●5枚目
 鬼の頭部。「別府八幡地獄ノ鬼 身丈一丈二尺」と添えられており、ここまでにご紹介した鬼と同じ鬼と思われる。ただし、展示の場所は屋外から一転、室内(怪物館内?)に移動している。それにしても写真の構図がよくわからない。