水晶塔=水族亟(箕面動物園)

イメージ 1ネットオークションで発見した「(箕面動物園)水族亟」なる絵葉書である。
屋外設置の水槽だろうか(水族「函」?)、周囲の景色が映り込み判りにくいが、魚の姿らしきものが写っている。
この絵葉書と箕面動物園の園内案内図の「水晶塔」を見比べてみよう。これでピンとこなければ、噴水探偵失格である。
「水晶塔」=「水族亟」であるに違いないと当たりをつけ、すぐに応札した。粘るもう一人の応札者との値付け合戦の末、1万円で私が落札した。

イメージ 2落札後、当時の新聞をひっくり返し、「水晶塔」=「水族亟」説の裏づけを取ろうとしたが存外に記事が見つからない。出てくるのは動物の話ばかりである。動物園の取材に行って噴水にばかり目が行く奴は困り者であるが、少しはいてくれないとこっちも困る。国会図書館で毎週クルクルと新聞のマイクロフィルムを回し続けようやく見つけたのが、明治44年(1911)6月4日『大阪毎日新聞』の記事である。「松尾橋を渡ると正面に水晶塔があつて噴水の下、魚族の浮游して居るのが見える」という、箕面動物園の近況を報告した記事中にわずか一行の発見だが、裏づけとしては十分だろう。

イメージ 3魚の飼育装置でもあったとすれば、動物園側としてみれば、地元の住民との水の供給を巡る騒動は、噴水が止まる止まらないという話にとどまらず、展示している動物が死ぬかもしれないという一大事だったのではないだろうか。