「大花鉢と五色の噴水」

東京朝日新聞 明治40年5月20日

博覧会記事
夜間開場の初日(昨夜の壮観、無比の人出)

大花鉢と五色の噴水

 暮鐘七時を報ずると同時に第一会場各館のイルミネーションは先ず点じて例の不夜城を現わし続いて正門内に設備せる諸景容は一時に光彩を放ちたれば観覧人は拍手歓呼して場内動揺めき渡れり、正門を入りて広場の取付には大鬨台に一は牡丹、一は薔薇の造花を栽込みたる間へ五色の電燈を点じたるあり、中央の花壇より噴水附近には朱塗りの枠に紅ボカシの紙を貼りたる雪洞(電燈入)七八十個点燈して道しるべとなしたる間を辿れば女神の立てる花盛鉢の上には門形に電燈を取付けて点火したり、之と相対して大噴水は五色の彩りに変じて数階の噴水或は青く或は赤く頂上のバカスの神の御威光始めて燦然たり