「勧業博覧会と噴水」

建築雑誌(237号) 明治39年9月

叢録
勧業博覧会と噴水

 明年三月より開かるべき東京勧業博覧会々場の第二号館前即ち竹ノ台に一個所不忍池中に一個所の噴水を建造することに決定したる由なるが竹ノ台の分は六角形の瀧にて其上に希臘式の宮室を造り夜間は電燈を以て瀧水を変色せしめ不忍池中のものはセントルイ博覧会にて建造したると同様の円水形とし中央に大噴水を設け夜間は竹ノ台のと同じく電燈にて水色を変ぜしむる装置なりと尚お消火栓及飲料水に供する為め八日より会場全部に水道の敷設に着手したりと云う此の希臘式の宮室希臘リシクラテスのコラ、ジック、モニュメントを雛形に取りしものにて屋根の上にはバカスを置き水盤は数段に別ち周囲には希臘式羽立の獅子を置くと云う、その獅子とバカスは美術学校の彫塑科にて製作中の由。