「博覧会の噴水器(三)」

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読売新聞 明治35年8月13日(2面)

博覧会の噴水器(三)

 其三 機械館教育館中央の噴水設計

 博覧会正門を入りて美術館前の大噴水に至る中央更に一大建築的噴水の設計を見んとす。位置は機械館と教育館との中央に在り(前号工業館前と記せしは誤聞)設計は四方正面にして凡てクラシック式に則り最も輪奐の荘麗、装飾の善美を尽し、高塔の絶頂より水面に至る総高さ七丈五尺、正面の幅三丈八尺、其中央に幅一間二尺、高さ一丈八尺の瀧を落す、清冷夏尚寒かるべし。而して内には七色の電気を仕掛け回転機を設けて其色を変化せしめ、色の変化と共に噴水に照射して天より七色の瀧を墜下するの美観実に想像の余なるべし尚高塔より下部に至るまで装飾の部分には悉く電燈を設けて同じく其色を変化せしむ。この噴水は直径十八間の池の中央に建設され、其周邊更に八個の噴水を設くる計画にて設計者は東京美術学校助教千頭庸哉氏なり。詳しくは下図に照らして知るべし