カテイ石鹸大噴水塔と泰西名画

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「カテイ石鹸大噴水塔」絵葉書
 
 須賀健吉編『平和記念東京博覧会案内』より。
 「不忍池の真中に屹然として立つた噴水塔がある、その噴水の奔騰高さは百五十尺、夜となれば電気応用の大仕掛けに只見る満天の飛沫、五彩の光龍、爛として虹と流れ、燦として火花と散る、その壮観は言語に絶して居る。この噴水は頂点にはカテイ石鹸の商標となつて居る泰西名画ルブラン夫人の『母と子』の純白な石膏模型も置かれてある」。
 
 つちやたび水晶塔が頂に商標の大黒様を据えたのと同様、中山太陽堂のカテイ石鹸大噴水塔も商標である母子像を立体に起こし、頂に据えていた。
 
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「顔のアレぬカテイ石鹸 クラブ白粉本店特製品」絵葉書
 
 平和記念東京博覧会で中山太陽堂は、主力ブランドである「クラブ」をはじめとする化粧品、石鹸、歯磨、果ては万年筆まで、さまざま自社製品で美しく飾り付けた特設館を出展した。この特設館の中央にもルブラン夫人の『母と子』の等身大石膏像が据え付けられていたという。手がけたのは山本瑞雲。かの高村光雲の一番弟子とされる彫刻家である。不忍池の母子像も、おそらくは山本瑞雲が手がけたものではないだろうか。
 
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国民新聞社発行「平和記念東京博覧会案内図」(部分拡大)